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「なら良いんだけどね。まぁどうでも良い事かもしれないけど、清瀬先生はこれまでに何人もの生徒に告白されているのよね」
明らかに色の違った驚きの声が上がった。
あまりに素直な反応にあたしはつい笑ってしまった。
「先越されちゃったって?そんな青い顔しなさるな。ぜ~んぶ振られたよ。ぜ~んぶね。中坊ごときが清瀬先生に釣り合う訳ないでしょ」
22歳で新任として入って来たその年から、彼女は何度も卒業を控えた生徒に思いを告げられている。
しかし真面目な彼女は、これから大いに恋愛の機会がある、ましてや高校生活を控えた彼らに肯定的な答えを返す事は無かった。
「けどさ、たまたまタイプじゃなかっただけかもしれないじゃん」
「食い下がるねぇ。あんた達がどんなに頑張った所でね、先生から見たら所詮教え子の一人でしかないよ。大人が子供に恋なんてすると思う? 考えても見なよ、あんたが同じ位の年齢差、幼稚園児かな?そんなちっこい子と付き合いたいと思う? 」
「俺は別に……」
岸田少年は不貞腐れる様に背もたれに顔を乗せた。
あたしはこれまで何人かに言った台詞を再び言う事にした。
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