用務員小屋で

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「あんたさ、その気持ちに責任を持てるの?大人の女と付き合うってのはね、その先の人生を共にする覚悟を伴うのよ。学生同士の恋愛とは訳が違う。キラキラした憧れだけで済むものじゃない、気に入らなければ別れりゃ済むってものでもない。子供のあんたには想像の付かないモンなのよ。先生はそれが分かってる。あんた達位の男子生徒が眩暈の様にふらっと大人の女性を好きになる事も、そして高校や大学に行ったらそんなのは甘酸っぱい思い出にして目の前の若くて輝きに満ちた年頃の娘に夢中になる事もね」 「何だよそれ!勝手に浮気するって決めるなよ! 」  本音を出した相手にあたしは再び笑った。 「カッカしなくて良いだろ?悪いなんて言ってないじゃない。まぁ恋している時ってのはたいていそれが最後の恋だって思っているからね。大人の恋をする前に恋愛ってのがどういうものか、ちゃんと知って行くプロセスが必要なのさ。あんたはそれをここを卒業した後ゆっくり知って行くんだ。色んな子に恋をして、思いを告げたり諦めたり、あるいは振られたり、思いを実らせたり、喧嘩をしたり、そういう経験ってのはきっと必要なのさ」 「本当に好きな相手が出来たら他の人になんか興味わかないね」
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