冷たい彼女の隠しごと

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冷たい彼女の隠しごと

「美冬、見てよこれ」  週末の休み。  僕は興奮気味に、同棲中の彼女に携帯電話の画面を見せた。  とはいえ、彼女はちらりとこちらを見ただけで、反応は冷たい。 「何?」 「僕のやってるゲーム。今度アップデートされるんだって」 「……へえ」  まるで興味の無い返事をされてしまったが、僕にとっては割とビッグニュースだった。  国内外で有名なオンラインゲームのアップデート情報。  空いた時間で僕もログインし、ゲームの向こうのファンタジー世界に没入して楽しませてもらっている。このゲームが人気の理由は、綺麗なグラフィックと作り込まれた世界観。大好きなゲームに新たな機能が加わるというのだ。興奮せずにはいられない。 「アップデートなんてよくあることじゃない」 「よくあるけど、今回のアップデートは一味違うんだ」  二人でソファに座ってくつろぎながらSNSをチェックしていたら、見つけてしまった。彼女に話さずにはいられなかった。 「これはプレイヤーたちが待ち望んでいた機能でさ。ゲームの中でパートナーと『結婚』ができるようになるんだよ」 「…………へえ」  多分きっと、僕の目はわくわくで輝いているはずだ。  それと反比例するように、美冬の反応はより冷めた気がするが。
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