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クリームソースのパスタとシーザーサラダがテーブルに並んだ所で話を切り出す。
「大介、明日から出張に行くぞ」
「そうなんですか?気を付けて行ってきて下さい」
「違う。一緒に」
「えっ!?」
取り分け皿によそっていたパスタを勢いよく皿に落とした。
「やけどしなかったか?大介はそそっかしいな」
近くにあった布巾でテーブルを拭く。
「あっ、すみません、じゃなくて!どうして保さんの出張に俺が同行するんですか?」
「大介の保険会社の系列では損害保険も取り扱ってるだろ。今度リゾートホテルを建てる事が決まったから建物の保険は全部任せる予定でいる。だからその下見だな」
俺が詳しく説明しても、
「下見…出張扱いでいけるかな」
と、悩んでいる様子。
「その心配ならしなくてもいい。上の方に話を通してあるから。逆に喜んで、いくらでも連れて行って下さいとまで言ってたからな」
「そうですか…」
大介は呆気に取られたように返事をした。
その少し抜けた表情が可愛くて、食事中だが早く大介を食べたくなってしまう。
だが、明日の事もあるし疲れさせてしまうのは可哀想なので、今日は軽めに調整しよう。
とにかく出張が楽しみだ。
いや、出張という名のバカンスと言った方が正しいか。
大介はそれを知ったら一体どんな顔をするだろう。
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