56人が本棚に入れています
本棚に追加
新しく建てる場所の最終確認は車から済ませてホテルに到着する。
土地の権利関係の書類に目を通して判を押せば契約は終わりだ。
あとは秘書からの連絡を待てばいい。
「保さん、他にお仕事はありませんか?」
俺が仕事をしていないと思ったのか、大介が呆気に取られた顔で見つめている。
「大丈夫だよ。後は連絡待ち」
「分かりました」
納得した笑みを返してくれ、二人で最上階の部屋に向かった。
今日用意した部屋は、このホテルの最上階で大きな窓から海が一望できる。
緑も多く少しの休息にはピタリと当てはまる場所だと思い、ここを選んだ。
「すごい…」
景色に圧倒されたのか、大介は窓際で一言発したきり見入ってるようだ。
その姿を後ろから眺めているだけで満たされるような、今まで感じたことのない不思議な感覚になる。
これが幸せというものなんだろうな。
「保さん、素晴らしいところですね」
「あぁ。癒しに来るには最適だろう?」
「はい!」
そこでスマホが鳴りだし、秘書からの呼び出しだ。
少し出てくると大介に伝えて部屋を後にした。
最初のコメントを投稿しよう!