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聞こうかどうしようか迷う。けれどどういう風に聞けばいいのかわからない。前回と同じ聞き方をするなんて困らせるだけだろう。それで同じ答えが返ってきたらきっと終わりだろう。何て言いだせばいいのだろう、そう思っていたら貴女が口を開く。
「重いんだ」
貴女が言う。唐突で私はきょとんとすることしかできない。
「私にはさ、他の人の何かが私の近くにあるだけで少し重いんだ」
貴女が続ける。私は混乱していた。だって、それなら私は迷惑ということだろうか。
「貴女はさ、私のことを普通を知る人って言うけど、多分私にも普通なんてわからないよ。ただ、私は他人のことを重いと感じながらも、それでも貴女のそばにいたいと思った。それだけなんだ」
ああ、私には全てはわからない。わからないけれど多分私にとって喜ばしいこと。
「どうすればいいのかわからなかったんだ。それで前は誤魔化しちゃった。ごめん。誤魔化すべきじゃなかったのに。私上手く伝えられる気がしなくて。上手く伝えられなかったら傷つけるだけだと思っちゃって」
「ううん、いいの……今聞けたから、それでいいの」
軽い衝撃。貴女が私を抱きしめる。だんだん力が強くなっていく。貴女がこんなにも態度で感情を表したことがあっただろうか。それなら、私も同じだけ、いやもっといっぱい同じように返す。
「ごめんね。私がもっとわかりやすく、ううん、もっと早く言ってればよかったよね」
「いいの、今でいいの。大丈夫。むしろ私が察せなくてごめんね」
謝り合う。これは貴女を好きだから。貴女も私を好きだから。
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