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僕は今すぐにここから、脱出する方法を考えなくてはならない。僕は彼の姿を見て、自分の置かれた状況を正確に理解した。僕はもう、無理に藻掻いて体力を消費するのをやめたけれど、立っているだけだってそのうち体力の限界はやってくる。彼が僕と同じように、この絶望に陥ったように、今度は僕が彼を追うように、さらに悪い絶望に陥る事になる。やはり僕が今、すべき事は黄色への前進ではなく、後退なのだ。
僕は再び手足に力を入れた。今度は後ろに下がるために。何回手足を動かせばよいだろうか。振り返れない僕にはそれが分からない。でも、とにかくありたっけの力を手足に込めた。
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