Chicken Rice Cake

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 手足は決して動かなかった。結局、僕は前進したのだ。黄色へではなく、さらに悪い絶望へと。  もう僕に体力は残されていなかった。目の前に横たわる彼を見る。散々、思考がないとか、彼について思ったけれど、結果を見れば僕だって彼とさして変わりはなかった。  僕は倒れ込んだ。僕の体は二度と自由に動く事ができない。僕は動けない体の限られた視界の中で彼を見た。彼はすでに動いてはいなかった。本当に全てを諦めたか、それとも、もう冷たくなってしまったか。どちらでも、変わらない気がした。諦めなかったところで、もう僕らを待つ結果は変わらないのだから。  ゆっくりと、体から力が失われていく。全ての力が体から抜けるまで、かなり時間がかかりそうだった。走馬灯を見るには十分すぎる時間がある。でも、どうだろうか。それほど思い出さなければならない事もないような気がした。  僕は代わりに未来について考えた。明日どんなものを食べたいかとか、明後日はどうやってあの子を笑わせようかとか。どれも、僕に訪れる事のないものだった。
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