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僕は背後に気配を感じた。一匹のネズミが僕と彼を見ていた。いや、そのネズミが実際に見ていたのは、僕らの先にある黄色だった。
僕は願った。本当は声を出したかったが、そんな力は僕には残ってなかった。だから、僕はそのネズミがこちらに来ない事を必死に願った。きっと、あのネズミも僕らと同じ運命をたどる。やめてくれ、僕らを見てくれ。でも、きっとそれも虚しい事だろう。あのネズミには黄色がとても魅力的に見えているはずだから。
こんな世界の何を憎もうか。僕らの本能か、それともずる賢い人間か、それとも生まれた事そのものを憎むべきか。
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