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 店長は昼間の客、近くの工場の昼食購入の大海嘯を捌き切り、レジ裏にて一息をついていた。近所で暮らす妻とパートさんが来るまでの僅かな休息である。ふと、雑誌コーナーを見れば立ち読み客が雑に本を戻したのか、マガジンラックが乱雑に乱れていた。 雑誌整理をしようとレジ裏を出た瞬間、背広姿のいかにも真面目そうな男が来客してきた。 「いらっしゃいませ」と、店長が言うと、真面目そうな男はツカツカと店長の方へと近づいてきた。 「失礼ですが、このコンビニエンスストアのオーナーさんでございますでしょうか?」と、真面目そうな男は店長に尋ねた。 店長は「いきなりなんだろうか?」と内心で首を傾げながら肯定した。 「はい、それが何か」 「すいません、申し遅れました。私、こういう者でして……」 真面目そうな男は懐より名刺を出した。名刺に書かれていたのは有名コンビニチェーン店の名前で、男の所属はフランチャイズ契約の渉外担当者であった。 「あの、少しお伺いしたいのですが…… フランチャイズ経営にご興味などはありませんでしょうか?」 ああ、この店を自分のコンビニチェーンの店舗にしたいと言う営業か。店長はこの手の相手は何度も相手にしており辟易としていた。その度に言う言葉がある。 「一切興味はありません。お引取り下さい」 この店は国道沿いにあり、近くに駅も学校も高速道路のICまでもある。立地としては出来すぎなぐらいに最高である。それ故にここに自分のコンビニエンスストアを建てようとするコンビニチェーンは少なくない。
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