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店は瞬く間に畳まれた。唯一無二だった店の看板が全国どこにでもあるコンビニエンスストアの看板へと変わる。店長は雇われオーナーとして、自分よりも随分と若いエリアマネージャーの指導を受けて有名コンビニ店の運営ノウハウを学ぶのであった。
そしてオープン日。神の見えざる手が動いたのか初日のご祝儀と言わんばかりに店は千客万来の様相を見せた。元・常連客も続々と店へとやってくる。
「店長? つい有名店の仲間入りしちゃったんだー? 残念だなー、俺、前までの方がローカルコンビニっぽくて好きだったのに」と、親しげにやもめの工員が宣う。斜向いに有名コンビニが出来た途端にそっちに切り替えたくせに良くも言う。オーナーは心の中では思うものがありながらニッコリと笑い、これまでと変わらずに、「ありがとうございます」と、お客様に感謝の意を示した。
店はかつての勢いを取り戻し、売り上げは絶好調。コンビニ本部にロイヤリティを払っても前以上の利益を出せるようになってきた。知らぬうちに斜向いのコンビニエンスストアはコインランドリーだった時のように蕭条と静まり返ってしまうのであった。
つまり、店長はコンビニ戦争に勝ったのである!
有為転変は世の習い、斜向いのコンビニエンスストアは潰れ、中に何もない平たい建物と成り下がってしまった……
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