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「そうなんですよ。それがドミナント戦略なんですよ。これを多角的に広げて『この国のコンビニの支配者』になるのが我社の目標なんですよ」と、エリアマネージャーは高らかな声で熱弁を振るった。支配者とは大魔王や独裁者みたいなものの言い方だ。オーナーは思わず吹き出してしまった。
「ははは。とは言え、良いことばかりでもないのでしょう?」
「人と言うのは、便利で居心地の良い方を使いたくなるのは当然なものです。例えば、駐車場が広いとか、可愛い店員がいるとか、愛想の悪い店員がいるとか、お菓子やジュースの品揃えが悪いとか…… ちょっとした理由でそのお店を使うか使わないか決めるものです。お客さんに使われないとなれば、我社からも不要いとして見切りを付けなければなりません。斜向いの店は『仲間であり、敵でもあるんです』そのことをよく頭に入れ、駆逐されないように頑張って下さい」
エリアマネージャーは店長の肩をぽんぽんと優しく叩いた。そして、斜向いの店へ小走りで向かっていくのであった。
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