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「でも、でもなんなんですかこの組織は!
国連とか言ってましたけど本当なんですか!?」
次郎は最後の反撃に出た。確かに『地球滅亡の危機』自体に疑義があるなら、魔改造手術を拒否する事も可能だ。
……という、前回のラストからそのまま今回に突入する。
「そうだな。メンバーについてはわかってもらえたと思うが、組織についてはまだだったな。
レッドが不安になるのも無理はない」
セリフの最後をうまく差し替えて長官が言った。こいつ、慣れてやがる。
「そりゃあ、自分が人間でなくなっちゃう手術なんか、信頼してないと受けられないよねえ」
美優がとても常識的な発言をした。素晴らしいぞ美優。優しいぞ美優。その名前の通り、美しく優し……。
「……そうか。俺の手術が信用できないか……。
このダークメイスン。この身の不徳、恥じ入るばかりなり」
ちょっと暴走気味になった筆者を遮って、ダークメイスンの落ち込んだ声が響いた。いや、この状況で魔改造手術を信用しろと言う方に無理があるぞ。
「いや、メイスンさんが個人的に信用できないとかじゃなくて……」
次郎のこの反応は、つい相手の気持ちを慮ってしまう日本人の素敵な性だ。
だが。
「ほんとぉ? ラッキー!
じゃ、やろう手術。今すぐやろう手術。楽しいよ手術」
ほら言わんこっちゃない。こういう日本的な文化は海外では、いや、異次元の存在ならなおさら通用しないぞ。
ダークメイスンはテンション爆上げで次郎の手を握った。
「だから! 待って下さいってば!
組織のこと聞かないうちは、手術なんて受けませんよ!」
ダークメイスンの手を振りほどいて叫ぶ次郎。
「へーえ、じゃあ聞いたら受けるってことね?」
「あ……!」
とどめを刺したのは美優。いいぞ美優。実際は何の言質も取れているわけじゃないが、今の次郎ならこのまま押し切れるだろう。行け! 頑張れ美優!
「では早速、説明しよう」
長官が厳かに言った。お前かーい。
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