新生レッド誕生!

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「紆余曲折、ですか……」 「うむ。  国連で、戦隊の設置が決定した後、その名前をめぐって国会は紛糾した。  憲法や現行法との整合性、各種団体との折衝……。  数十時間の審議が行われ、この要素は外すことができない、というものだけに絞り、最後には国民投票を行う案まで提出された」 「そ、そんなことがあったなんて……」  確かになかなかの紆余曲折である。 「もちろん、『極秘組織』だから、国民投票案は却下されたけどね」  すかさず美優が補足する。  確かにそうだ。国民投票案を出した議員には、是非次回の選挙で落選していただきたい。 「そして、【究極無敵爆裂防衛戦隊】に決定した」  長官は大きくうなずいて言った。 「最後まで『憲法九条』を入れるべきだと言っていた者もいたが、この際それは関係ないだろうという結論になったようだ」  ダークメイスンが目を閉じて静かに言った。いや、それは必要な情報だろうか。面白エピソードではあるが。 「……そりゃそうでしょうね。  でも、その後の部分が重要でしょ? なんで決まってないんですか!」  そう。タイトルのメインは「○○戦隊」の部分ではない。その後の部分がメインタイトルなのだ。 「いや、決まっているぞ? 【なんちゃらファイブ】だ」  長官が言い切ると、ダークメイスンと美優も大きくうなずいた。え、マジすか。マジすか美優ちゃん。 「なんちゃ……。いやいやこれ適当でしょ、あからさまに!」  次郎はつい大声になっていた。もう「わめく」という表現がぴったりくるレベルだ。 「この名前をめぐっても国会は紛糾した。  憲法や現行法との整合性、各種団体との折衝……。  さらに数十時間の審議が行われた」  今度はダークメイスンが重々しく説明した。いや、さっきとほとんど同じなんだが。デジャヴなレベルで。 「スーパーパワーレンジャーに決まりかけてた時もあったよね」 「え! そうなんですか美優さん!  いいじゃないですかそれ!」  思わず身を乗り出す次郎。確かに「なんちゃらファイブ」よりは数十倍良い。(当社比) 「この案は却下された。アメリカへの忖度によってな」  長官の声には少し悔しさが滲んでいた。 「あ……そっか」  次郎はあっさり納得した。読者諸君にも、少し特撮に詳しければ察して頂けるはずである。もしわからない場合は「アメリカ」「戦隊」で検索だ!
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