1人が本棚に入れています
本棚に追加
「その頃には国会も、『もうなんちゃらファイブでよくね?』という空気になっていたからな」
え、軽っ。マジかダークメイスン。議員たち、飽きちゃってたのか。
「そういうわけで、この組織の正式名称は【究極無敵爆裂防衛戦隊なんちゃらファイブ】となったのだ」
次郎はどうも釈然としない顔だった。もちろん筆者もまったく釈然としていない。
「でも……国連の組織なのに、なんで日本の国会でやってたんですか?」
「国連はー、組織の設置は決めたけど「あとは日本でやってねー」って丸投げしたんだよね~」
次郎は思いっきりため息をついた。ダークメイスンの答えがあまりにも予想通りだったのだろう。
「まぁ、それだけ日本が頼られてるってことでしょ?
裏を返せば、日本が貧乏くじ引くのは結構いつものことじゃん?」
美優はあっさりと言った。
「ま、マジっすか……」
がっくりと肩を落とす次郎。長官は苦虫を噛みつぶしたような顔になった。
「美優くん、できれば、逆に裏を返して欲しかったなぁ。
……だがまぁそういうわけだ。
レッド。実は君にも既にコードネームは発行されている。
なんちゃらスーツを支給する際に伝える。
自己紹介アクションも考えておくように」
おお、自己紹介アクション。戦隊の花形コンテンツの一つだ。ここは是非ともビシッと決めてほしいところである。
「え、ああいうの、自分で考えるんですか?」
「あったりまえじゃない!」
美優がぐっと拳を握り、テンション爆上げで一歩踏み出した。
「あたしはぁ……。
……ふんっ!
創世の! 赤き翼!! ブラフマァァ~~~レッドぉ!」
何という美麗なアクション。最後に決めたくるりと一回転。そこでもちろんスカートがふわっと広がって……。
いやはや、読者の皆様にお見せできないのが残念である。精緻に描写したいところだが、それをすると少し問題が生じかねないので割愛する。本当に申し訳ない。妄想力を逞しくしていただけるとありがたい。あー悶々する。
「ふっ……。
至高の暗黒……。スプリィィム! ブラック!」
こちらはうって変わってシンプルかつ重厚なアクション。ビシッと背筋の伸びた立ちポーズのまま、動かすのは右手のみ。手首を軽く振り、そのまま顔を隠すように前髪をかきあげる仕草。どう考えても読者的には「何故美優のアクションではなくこちらを詳述するのか」と言ったところだろう。
「か……カッコ良……っ!」
思わず引き込まれてしまう次郎に、長官は満足げな笑み浮かべてうなずいた。
「ではレッド、君の改造手じゅ……」
プルルルル。
長官の言葉を遮るように、ただのスマートフォン型超高性能携帯端末が鳴った。
最初のコメントを投稿しよう!