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「……は?」
次郎のこの反応は当然だろう。次郎は面食らいつつ理解不能でありつつ驚きつつ……という、かなり複雑な心持ちになっていた。
「ちょっと、長官。いくらなんでも唐突すぎでしょー?」
ちょっと鼻にかかった、ハスキーがかった、高めの声が響いた。もう、アニメのような可愛い女子を強制的に想像させられてしまう声だ。
「……俺は知っている。
あれは人間が「どん引き」をしている時の顔だ」
次に響いたのは闇雲に低い声。少しこもっているかのように聞こえるその声には、何故か軽くエコーがかかっているようだった。とは言えはっきりとクリアに聞き取れるのだから不思議なものである。
次郎は改めて室内を見回した。
「料亭」とは名ばかり(本当に名前だけ)で、完全に「ちょっと狭めの貸し会議室」である。7~8人で会議をするのにちょうどいいくらいだろうか。
声の主は、三人。
まずやたらと声量のあるおっさん。
大時代な軍服を着て、巨大な八の字髭、そして太く濃い眉がいかつい、いかにもな感じの男だ。
そして声にぴったりの美少女。
赤を基調とした、フリフリたっぷりのヘソ出しファッション。スカートは大きく広がり、膝上十数センチまで完全露出している。まさにもうメイド服か女の子ヒーローのコスチュームだ。真っ赤な片脚ニーハイがまぶしい。ピンクから赤へのグラデヘアはツインテールに束ねられていて、もうほんとお約束感満載。
だが諸君。ヘソ出しに気を取られてはいけない。その直上にある、女性特有の幸せなふくらみは、もうむしろ凶器レベル。童顔にこの推定Fカップの胸は、最終兵器と言っても過言ではないだろう。
最後の一人は、存在感が独特だった。
全身黒尽くめのスーツ。エコーのかかったような声同様、身体の輪郭さえぼやけて見えるような、そんな心許ない風体。だがそこに何かが秘められている事を予感させる、危険な男。
次郎はそれだけの視覚情報を得る事ができたが、結局この連中がなんなのかはさっぱりわからなかった。
「うむ。確かに、事態が急を要するとは言え言葉が足りなかったようだ」
腕組みをして『わかっとる。みなまで言うな』感を出しつつ、軍服のおっさんが厳かに口を開いた。
「レッド。いや、田中次郎君。
どうだ、改造手術を受けてみないか?」
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