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ピッ、と音を立てて通話回線を開く長官。
「はいこちらなんちゃらファイブ長官、だいごぉぉうだ!」
……なにっ!!」
長官の血相が変わった。何か重大事が勃発したらしい。
「ど、どうしたんですか?」
ただならぬ空気の長官。次郎の緊張感も高まっていく。
美優もダークメイスンも、いつになく真剣な顔になっていた。
「……わかった。そちらは任せる」
長官は静かにそう言うと、ピッ、と音を立てて通話回線を閉じた。
「ゴズメズーンの先遣隊が地球に到達した!
諸君、出動だ!」
くわっと目を見開いて三人に命ずる長官。
「らじゃあ!」
「ハァ~イ、了解でかしこまり~!」
美優、ダークメイスンが敬礼して答える。
「なんちゃらファイブ、初出動だ! 全員でゴズメズーンを撃退せよ!」
……全員?
「ちょ、ちょっと待って下さい! あとの二人は?」
確かに、ここにメンバーは三人しかいない。次郎を入れて三人だ。
「ん?」
きょとんとする長官。ちょっと可愛い。
「ん? じゃないっすよ。五人なんでしょ? ファイブなんでしょ?
あとの二人はどうしたんです?」
「これで全員だよ? いまんとこ。
あー、あと二人、増えるといいねー」
ちょっと待て。まだあと二人分もこの茶番を行うというのか。それともまた別のチート存在をスカウトしようというのか。
「ん~、そうでござるなぁ。
もう一人女子の戦士が増えるなら、ホワイトやピンクもすてがたいが、拙者的にはブルーが良いでござる。
海のイメージのブルーなら、水着の期待も高まるというもの」
「もう一人は、正統派のイケメンがいいなぁ~。
ジロちゃんはレッドだけど、名前も顔も地味だもんね。
ね、ジロちゃん、知り合いにいいイケメンいない?」
いや全く決まってないどころか、めども立っていないのか。やる気はあるのだろうか。
「さ、三人でファイブなんですか……?」
「うむ。戦力はまだ充分ではないが時間がない。急いで名乗りの練習だ!
……レッド、こんな形でコードネームを伝えるのは本意ではなかったが……」
長官は背後に置いてあった風呂敷包みを次郎に渡した。
風呂敷包みには何か書いてある付箋が貼りつけられている。次郎はその付箋に目を落とした。
「なになに……?
レッド・フォックス……動物モチーフなのか……?」
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