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「まず、いっこ誤解があるようだから、そこから説明しなきゃね。
ジロちゃんはテレビの戦隊モノと勘違いしてるみたいだけど……。
実はこれ、ガチなの」
「ガチって……」
思わず鸚鵡返しにつぶやく次郎。ガチというのはまさか……。
「そう。これはガチなのだ。
地球に迫る危機に対応するため、国連の肝入りで発足した地球防衛チーム。
それが、我々【究極……」
「ちょ、ちょっと待って下さい。
地球に迫る、危機……?」
長官の説明を遮って、次郎が声を上げた。
さすがに、いきなり『地球の危機』なんて大人が口にするとは。童顔最終兵器がガチと言っていたが、次郎には、にわかに信じがたかった。
「それについては、メイちゃんが詳しいよ。
メイちゃん、説明して?」
童顔最終兵器が黒ずくめに顔を向ける。
……沈黙。
「……。
……メイちゃん?」
≪長官が、黙っていろと≫
黒ずくめのエコー風の声が響いた。だが、黒ずくめの男は口を開いていない。
「え? こ、この声、まさか……! 腹話じゅ……」
「だからって直接頭に語りかけないで!
もう、長官!!」
黒ずくめの男は声を使わずに、直接テレパシーで語りかけてきていたのである。
読者諸氏におかれては、今後テレパシーでの台詞は≪≫で表記する事をお含み置き頂きたい。
とにかく、ちょっと頭の悪そうな勘違いを口にしかけていた次郎は、ぎりぎりで恥をかかずにすんだわけだ。
「メイスン君、さっきの命令は取り消しだ。
レッドに、現在地球に迫っている危機について、レクチャーを頼む」
「了解した。
説明しよう。現在、この地球には、暗黒星団ゴズメズーンの魔の手が迫っている」
黒ずくめが厳かに口を開いた。
「……頭に直接語りかけてるのと、区別つかないわね、聞いてる分には」
いや、だから表記を変えてるんだけど。まぁきっちり区別したからと言って、どうという事もないわけだが。
「暗黒星団ゴズメズーンとは、様々な星間種族からなる悪の帝国で、既にいくつもの異次元世界を征服した。
そして、ある日ふと気がついた。
異次元世界をいくつも征服しているのに、もともといたこの世界の全てを征服したわけではなかった、と。
それで、まずは手始めに、この地球から征服を開始しようと考えたのだ」
地球側からしてみれば、とんでもなく迷惑な話である。
こんな迷惑な計画が実行に移され始めていたとは。
次郎にも事の重大性がわかってきたようだった。
「そ、そんなことが……!
でも、なんでそんなことがわかったんですか?」
「この世界を征服していない事に気付き、暗黒帝王に地球征服計画を具申したのが、この俺だからだ」
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