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「改造って……。そういえば最初にも言ってましたよね……」
「そ。ジロちゃんは今のままじゃ、あっという間に死んじゃうから、改造手術を受けるのよ」
「……はぁ?」
次郎にはやはり納得がいかなかった。ダークメイスンと美優が選ばれたのはわかる。それだけの力を持っているからだ。
テレビの戦隊物だって、それぞれ力を持った者がメンバーになっている。
だが、自分にあるのは、強いて言えば英検3級だけである。そんな自分を選び、わざわざ改造までして戦わせようというのは何故なのか。他の人でも良くはないか。何故自分でなければならないのか。
次郎のそんな思いを知ってか、長官が重々しく口を開いた。
「そうだ。レッド。
地球の科学力、そして神々の力を集め、メイスン君が我々にもたらしたゴズメズーンの超暗黒科学をフルに活用し、君を無敵の超人に魔改造するのだ!」
長官はドヤ顔で、立派な八の字ひげを指で弾いた。
「ちょ、ちょっと待って下さい、じゃあ俺、改造人間にされるってことですか?」
どちらかというと、魔改造人間といったところか。どちらにしてもこんな貸し会議室で持ちかけられるようなレベルの話ではない。
「まぁ、ありていに言えばそうだ。サイボーグだな」
「安心、しろ。痛みは、ない」
「嫌ですよ!なんで僕なんですか!
僕はただのフリーターで、オーディションも受けてないし、応募もしてないのに!
あ! もしかして、姉が勝手に送ったら通っちゃったーとか、良くあるあれですか?
ちくしょう、姉貴のやつ!」
次郎はほとんど錯乱しているレベルでわめいた。いや気持ちはわかる。突然地球の危機に対抗するためにサイボーグになれと言われれば混乱も錯乱もするだろう。しかし、ちょっと錯乱しすぎてはいまいか。次郎、君は一人っ子だ。
「そうではない。
我々が、この世界にあまねく存在する人類全ての中から、君を探し出し、選んだのだ!
そう。君でなければならないのだ!」
長官がくわっと目を見開いて次郎を見つめた。その迫力たるや。
だが次郎も負けてはいない。
「だから、なぜですか!!」
「それはな、レッド。君の」
「正義の心だ!」
長官の言葉を食うように、ダークメイスンが言い切った。見事な連携……。
「だから、メイスン君。私の言う事を先取りするのはやめてもらえるかな」
いや、やっぱりダークメイスンの茶目っ気だったか。
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