16人が本棚に入れています
本棚に追加
/29ページ
はじめに
看守様が、紙とペンをくださったことを感謝せねばなりません。
わたくしは今、牢獄にいます。何故ならば、罪人であるからです。そして、あと一週間もすれば処される死刑囚だからです。
本来ならこうして何かを書くことも、誰かに伝言を残すことも、決して赦されることではありません。
それでも、今ペンを走らせることが出来るのは、神の最後の慈悲もしくは悪魔の気紛れのおかげなのでしょう。
何から話したら良いでしょうか…。
いいえ、元から話すことは決まっています。彼女との──イングリッドとのことを。
最初のコメントを投稿しよう!