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「じゃあ、また明日」
「うん、また明日ね!」
いつもの通り、彼に家まで送って貰ってわかれる。
「ただいまぁ」
「おかえりなさい」
リビングから顔を出した母が「早く着替えて準備しなさい」と言いながら、戻っていく。
「はぁい」
準備を終えて下に降りれば、待ってましたと言わんばかりににこにこしている母。
ここ数日、母の方が気合が入っているのではないかと思う時がある。
勢いの強い母に圧されながら料理をする。
「うん、美味しい」
「よし!」
味見を頼んで、合格を貰いガッツポーズ。
「これなら愛永君に出しても大丈夫だと思うわ」
「だと思うって…」
「ふふ、大丈夫よ!」
顔を見合わせて笑う。楽しい。少しおちゃめな母が大好きだ。
「ただいま~」
「お父さんおかえり~」
「おかえりなさい」
美味そうだな、なんて言いながら食卓に並んだ料理を見る父。
「お父さん、もうご飯なんだから着替えてきちゃってください」
私の時のように急かす母に「そんなに急かさなくても」と苦笑い。
しっかり手も洗って着替えた父が食卓につき、片付けをしていた母と私も座る。
「いただきます」
「いただきます」
「いただきます!」
3人で手を合わせてから、お父さんが食べるのを見る。感想が欲しい。
「お、美味いな」
「ほんと!?」
「あぁ、これなら愛永君に出しても大丈夫だと思うぞ」
「またお母さんと同じこと言う!」
「ははっ」
あの時みたいにお母さんと同じことを言う父に、ムッとした様な拗ねたような表情をしてそう言うと、笑われた。
もー、と言いながらも3人で顔を見合わせて笑う。
あぁ、幸せだ。
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