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今から丁度10年前、18歳の時。彼とは高校で出会って、2年生の時に彼の告白から付き合うことになった。卒業して同じ大学大学に通って、幸せな日々を過ごしていた。
「ねぇ、愛永」
「ん?」
「今度のデート、お花見にしない?」
「いいね、桜も見頃だし」
少し後ろを歩いていた彼に振り返って言う。
次の土曜日、約束していたデート。
だけど、どこに行くかは決めていなかった。
それじゃあ久しぶりに、お家デートでもと話していたが、今日の朝テレビで丁度その頃桜が見頃だと言っていた。
それなら、と元々出かけるのが好きな私はお花見デートを提案した。
「楽しみ~!」
「僕も、すっごく楽しみ」
そう言って柔らかく優しい笑顔を浮かべる彼。
隣に行って、手を繋ぐ。
あたたかい。お互いの体温がじんわりと溶けあう。
「良かった~!愛永インドア派だから、断られるかと思った」
「断るわけないよ、麗美と一緒ならどこまでも」
そう、悪戯っぽく笑う彼にキュンとした。
「っ、その笑顔はずるい」
「えぇ、なにが」
今度は困ったように笑う。
色んな笑顔を見せてくれる彼。
彼の笑顔が、大好きだ。
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