11人が本棚に入れています
本棚に追加
側に
起きたのはいつなのか、何時なのか分からなかった。
「私…」
ゆっくり起き上がった。
隣にいるはずの真司はいなかった。
水が欲しい…。
私が布団から出ようとした時に、
「サラ、起きたんだね」
真司が寝室に入ってきた。
「これ、飲む?」
差し出されたのは水だ。
「ありがとう」
私は冷えたペットボトルを掴んだ。
「あ。待って、開けるから」
真司は、ペットボトルを優しく縦に持ち、キャップを開けた。
「どうぞ」
私はペットボトルを取り、一気に水を飲み込む様に飲んだ。
「はあ」
ペットボトルの水は半分減っていた。
「大丈夫?」
真司は、心配そうに私を見ている。
私は、ペットボトルを持ち息を整えた。
「意地悪。お願いしたのに」
「姫こそ意地悪だ。可愛すぎる」
真司は、私の隣に腰掛けた。
「可愛くて可愛くて仕方なかった」
「恥ずかしい事、平気で言うのね」
私はちょっと強めに言った。
「恥ずかしくないよ。ホントだ」
真司は私の目を見つめた。
「素直に言っちゃうのね」
「素直じゃなかったら愛は伝わらないから」
「そうね」
私は笑った。
「笑うなよ」
真司の口元はキュッと結ばれた。
「だって」
私はクスクスと笑った。
外は、3月なのに風が吹いている。
土曜日の昼時。
私たちは、ランチ先を探していた。
「うーん、姫は何食べたい?」
「うーん、お寿司かな」
「回転寿司でいい?」
「うん」
車は近くの回転寿司へ入った。
ランチの時間だからなのだろう、待つ人で溢れていた。
「混んでるね」
真司は、くるりと並んでいる人たちを見渡した。
「そうね」
私も店内を見渡した。
「待つ時間あるし、ここでいいかな?」
「うん」
私たちは機械の前で話しながら操作した。
番号の書かれた札が出てきた。
「15組が待ってるのか」
真司は、番号札を見ながら溜息。
「他行く?」
「いや、ここでいい。ここじゃないと美味しくない」
真司は、壁側の最後尾に私の手を引き並んだ。
スラリとしたスタイル。決して、背は高い方ではないが見惚れてしまう。
私はと言うと、160センチあるかないかの身長にポッチャリした体型。よく、真司が私を選んだと思う。
「姫、どうした?僕を見つめて」
じーと見つめてしまっていたようだ。私は慌てて「何でもないの」と、苦笑いした。
「僕はいつも、姫だけ見つめてるよ」
「私も真司だけ見てる」
「可愛いから危ないの、姫」
「危ないって?」
「昔で言う、変な虫がつくんじゃないかなって」
「まさか」
私はモテたためしがない。
真司は機嫌悪そうに、
「姫が思っている以上なの」
真司は、恥ずかしげもなく、抱き寄せた。
「僕だけ見て」
「うん」
恥ずかしくあったが、嬉しかった。
最初のコメントを投稿しよう!