出会い

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「愛してる」  彼は私にキスした。 「んっ、んっ」  舌が私の舌を絡めた。 「離さないよ」  彼…柳真司は私、新山サラを抱きしめた。 「帰したくない」  車の中だ。  人気のない民家。 「ごめんね、娘が待ってるから」 「分かってる。ごめん」  真司は、ゆっくり私から離れた。 「また明日」 「うん。また明日」  私はカバンを持つと車から降りた。  真司のグレーの車がサアッと行ってしまった。  明日、何が起こるのか知らずに私は娘の待つアパートに帰った。 「お土産」  私は娘のハルカの部屋に入った。 「何々」  ハルカは嬉しそうだ。 「ケンタッキーだよ」  私はチキンの入った箱を差し出した。 「わーい」  ハルカは勉強机の椅子に座り、食べ始めた。 「ゴミは、下に持ってきてね」  私はそう言うと部屋を出た。  手を洗い、カバンをクローゼットにしまった。  家族はハルカしかいない。  夫は、10年前に亡くなっている。  私が27歳でまだ、ハルカはお腹の中にいた。  夫とは同い年で、病気など無縁だと思っていたのだが、過度の疲労により自宅で倒れてそのまま息を引き取った。  ハルカを抱え、実家に戻り、1年住んでから保育園に入所出来たのでしばらく働いてから実家を出る事に。  真司と出会ったのはいつもいくカフェでの事だった。毎日の様に朝のコーヒータイムをしていた私と何故か真司も同じ時間にコーヒータイムをしていた。後で聞いたら、私を一目見てからわざと同じ時間に来ていたらしい。  最初は挨拶からする様になり、いつの間にか一緒の席を共有した。3ヶ月が過ぎようとしていた。
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