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ここ最近、極端に笑顔が減っていた。
人から感謝されることも、そう多くはなかった。
久々の『ありがとう』をもらい、隆夫は胸の鼓動を感じることができた。
「ああ、『ありがとう』の使い方、まちがえちゃったな」
隆夫は鼻を啜って空を見上げた。
鷺が気持ちよさそうに、空を泳いでいた。
「よっしゃ。久しぶりにラーメンでも食い行くか」
弟の背中を叩き、促した。
「う、うん!兄さん?」
「なんだ?」
「・・・・・・ありがとう」
「お前っ、それはどっちの意味の『ありがとう』だ!」
「さあね」
2人で追いかけ合うようにして、ベンツに乗り込んだ。
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