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透と一度別れたあの日に、麗央は『黒薔薇の森』を退会していた。アカウントごと、すべての動画を削除している。
いくら利用規約が厳しいサイトとはいえ、一度ネットの海に流した情報は完全に消えるわけではない。自分は本当に愚かだった。動画編集用のパソコンは、インターネットにつながずオフラインにしている。過ちを繰り返さないために。
(誰かに見せるのは久しぶりだな)
再生すると、テレビ画面の中の透が動き始めた。このリビングに透が二人いる。三次元と二次元の透が。なんだか不思議な感じだ。
「な、なんか恥ずかしいよ、麗央……」
居心地が悪そうな透を、無理やりひざの間に座らせた。逃げないように後ろから抱きしめ、解説を始める。
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