母の記

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母の記

明るい母だった。 苦労を感じさせない、逞しい母だった。 母の昔を聞いたことがある。 小学4年生で、米3俵で子守奉公に出された。 祖母が再婚した、新しいお父さんの方針だった。 いつもお腹を空かしていたという。 おしんが流行った時、おしんは大根飯が食べられるから幸せだと言っていた。 母の食事は、お碗一杯の、なんかの粒が浮いている 茶色い汁だったと。 中学2年生の時に、お父さんが亡くなって 祖母の元に帰ったと。 祖母も貧しく お腹空いているのは同じだったと。 せんべい汁が流行った時に、母が笑って言った。 何故か、胡麻が浮いてるせんべい汁をよく祖母が作ってくれたと。 肉や魚や卵が食べられるようになったのは、父と結婚してからだと。 母の料理を思い出す。 タラコと人参の子和え、 樽で漬ける鮭の飯寿司、 私が大好きだったのが、 粥汁 山菜がたっぷり入っておいしかった。 父には梅酒、私たち子どもには梅酢、 カレーとラーメンは絶品だった。 父がラーメン好きなので、 チャーシューまで手作りしてた。 苦労を少しも感じさせない母だった。 お母ちゃん 私頑張るよ 妹と弟と仲良く お母ちゃん ありがとう。 とっつぱれ
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