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竹林の中を通る風が笹を揺らす音。
そんな情緒たっぷりの小径を抜け離れの客室へ。
居間からの景色の美しさに息を飲む。庭園には鹿脅しの小気味良い音と山鳥の囀り。
その隣には、湯をなみなみと張った露天風呂。
肌にまとわりつくようなアルカリ性の湯には、美肌成分もたっぷりで女性には嬉しいだろう。
温泉に浸かりながら見える壮大な山並みや木々からのマイナスイオンを浴びて気分もリフレッシュ。
夕食は、部屋膳でゆったりと。
伊勢エビ、鮑の踊り焼き、地産の和牛ステーキなどの豪華食材が続々と登場。
月明かりの中、食後の露天風呂もまた風情を感じる。
自分たちだけの空間である喜びを感じ取り、贅をつくした老舗旅館の趣きを是非味わっていただきたい。
本日3回目の露天風呂を堪能し、ビールを飲みながら原稿を書く。
集中、集中、ある一点から気を反らすようにして。
でもやっぱり我慢できなくて目線が向いてしまう。
封つうか、あれガムテじゃん。
この情緒溢れる離れの中で唯一おかしな箇所から目が離せないのだ。
何の変哲もない隣の部屋に続く襖。異常なのはその入り口にガムテープが頑丈に貼られ、行き来できぬように開じてあることだ。
しかもさっきから何かを引っ掻くようなカリカリという音がする。
音を辿るとその襖の向こう側からだ。
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