のんちゃんがいます

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 のんちゃんがいることで、メリットとデメリットがすごいのだ。  まず、のんちゃんが視えちゃう俺は、のんちゃんに触ることができる。  物理的に二人の状態を感じられるのだから、狭苦しさと圧迫感を感じる。  しかものんちゃんの趣味は手毬で、さっきみたいに家の中でやられると、まあ狭苦しい。  時々アパートの前の公園で遊んで来てと勧めても、「りょーへーも来い」と連れて行かれるのだ。  他の誰にものんちゃんは視えないもんだから、あの人若いのに平日の昼間に一人で何やってんの?   変質者じゃない? ちっちゃい子供が趣味なんじゃない?   ヤバくない? ヤバいよね、って公園のママさんたちにザワザワと噂され、通報されてお巡りさんに職質を受けたこともある。  若干28歳、この3ヶ月で3度も家の前で職質されたなんてちょっと無いだろう?  これがデメリットの大半だ。  メリットはのんちゃんはたまにお菓子をねだるくらいで、基本的にご飯も食べないので食費がかからないこと。  これは多分、犬猫よりも断然コスパがいい。  そして暑い寒いという感覚もないのか、光熱費の心配もいらない。  時々お風呂場で水浴びをしているのを朝になって知るくらい、コスパ良すぎて感謝しかない。  いや、もうそんな微々たるメリットよりも最強なのは。  仕事が絶好調でなのである!  雑誌で書いている連載ミステリーの反響が良く文庫本化が決定。  昨年書いて編集にボロックソダメ出し食らった小説が、何故かバカ売れし始め、『このミス大賞』にノミネートされるんじゃない? なんて言われ始めた。  新しい仕事もどんどん入ってくるものだから、正直寝る暇もないくらい忙しいはずなのに。  のんちゃんと時々遊びながらも、集中して仕事ができ、きっちり8時間睡眠を確保しながら健康万全で稼ぎ始めているこの状態。  それが3か月前、のんちゃんが家に来てからなんだもん。  のんちゃん様様だと思う。
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