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取り敢えず声に出す。
バンダルスリブガワン。
バンダルスリブガワン。
バンダルスリブガワン。
癖になるかもしれない。もはや何なのか全くわからないけど、とにかく響きが鋭角的で濁音が心地いい。バンダルスリブガワン。絶対に強い。強いか弱いかの二択であれば、間違いなく強い部類に入る。一体何が強いかはわからないが、まず間違いなく強い。強すぎて何が本当の強さなのか迷いだして答えを求め放浪するタイプの奴だ。ワクワクしてきた。
取り敢えずもう少し調べる。
ブルネイの首都。
正確にはバンダル・スリ・ブガワンらしい。
……なんだか『・』の位置がイメージと違った。
てっきりバンダル・スリブ・ガワンだと思っていた。この違いは大きい。語感が全然違う。
となるともうバンダル・スリ・ブガワンに対する興味は無い。
……いや、ブガワンはブガワンでアリかもしれない。むしろブガワンだけ切り取れば、とても心地良い響きではなかろうか。いや、どうだろうか、微妙なところだ。どうせなら完璧な語感を誇る地域へ行きたい。
そう思ってまた『暖かい地域』で検索するが、ブガワン以上に僕の琴線に触れる名は出てこなかった。
どうしようか。妥協すべきなのだろうか。しかし妥協はしたくない。であれば、もういっそ暖かくなくとも、語感がよければ何処でもいいのではないだろうか。よく考えれば別に暖かい所に行かなくとも、要は暖かさを感じればいいのだ。そういう意味で言えばむしろ寒い所でサウナとかに入ったほうが、ある意味では暖かさに対してよりありがたみを感じるのかもしれない。
僕は逆に『寒い地域』で検索してみる。
目が止まる。
カムチャッカ半島
……なんて素敵な響きなんだろう。
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