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その次の朝ぼくは一番乗りで学校につきました。思いっきり職員室のとびらを叩きます。
「アイちゃんせんせい!いらっしゃいますか!」
「かいくん何ですか?」
昨日よりせんせいの顔色が悪い気がします。だったらぼくがありがとうを返してあげなきゃいけない!
前にしょったランドセルから包丁をとりだします。せんせいの首のあたりにすばやく包丁をつきさします。けいどうみゃく......お母さんがそう言ってました。
血がふきだしてせんせいがぼくをつき飛ばします。悲鳴がひびき渡ってぼくのまわりにせんせいたちが集まります。
ぼくはせんせいに、はがいじめにされてしまいました。倒れたアイちゃんせんせいにぼくは力いっぱい叫びました。
「ありがとう!!せんせい!!ぼくはせんせいが大好きです!!」
昨日お母さんはありがとうの返し方を教えてくれました。料理中に包丁を持って、お母さんに背を向けたお父さんを刺しました。お父さんはいっぱいお酒を飲んでいて何が起きたのかわからなかったみたいです。
お母さんは馬乗りになってお父さんを痛ぶり続けました。暴れるお父さんを押さえつけていたのはぼくです。
「......ありがとうお父さん!!!!ありがとうありがとうありがとうありがとうありがとうありがとう―」
血だらけのへやでお母さんはお父さんをだきしめました。お母さんはたしかに泣いていました。
......お母さんはお父さんにありがとうを返せたでしょうか。ぼくはアイちゃんせんせいにありがとうを返せたでしょうか。
はやくぼくはせんせいにあいたいです。
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