一人っ子なのに末っ子になりました【川喜田吏美】

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一人っ子なのに末っ子になりました【川喜田吏美】

「結婚して欲しい」 「・・・・・・は?」 川喜田吏美(かわきたりみ)、三十七歳 十六年振りに告白されました じゃないわよっ 「何言ってんの?」 こっちは朝から忙しいのよ 我儘親父の暇潰しに付き合えるほど 「暇じゃないのよっ」 カチンときて腕に巻いた血圧計を乱暴に外すと 「フンっ」 態々一度視線を合わせてから鼻で笑ってやったわ その勢いでバイタルカートを押して扉に近付けば インテリ風の付き人がサッと扉を開いてくれた ・・・色々ムカつく! 愛想笑いをする付き人にも あんたの主を何とかしなさいよと睨みつけ特別室を出てきた 扉の外にも立っている厳つい二人へ 「ハァ」 大きなため息を吐いてナースステーションを目指した ・・・ 後輩達が何人も「無理ですっ」と放棄した患者を 岡部師長が頼み込むから 渋々受け持ったけれど 「なんなの?アレ」 声に出してしまうのはこの際許して欲しいくらいよ ・・・ 私の働く【橘病院】はベッド数二百床余りの中規模病院 看護学校を卒業してからずっと此処で働いている 院長である橘先生の交友関係が色々深過ぎて たまにさっきみたいな厳つい面々と遭遇する 一般病棟とは隔離した階だから 他の患者さんと交わることはないんだけど・・・ それにしても・・・ 「信じらんないっ」 苛々の原因になった二日前を思い浮かべた
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