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ゲルトは、オスの場合…とは言わず゙ 我々は ゙と一括りに言ってた。
それはつまり、オスは鳥肉、メスは卵が駄目だという事を意味していたのか。
私が変な勘違いをしてたんだと思うと、ちょっと怒ったのが申し訳ない。
「 もし、食べさせるならどうやって? 」
「 そのまま食べていいと渡せば、オスの方が好みで茹でたり、そのままだったりして食べてくださいますよ。中には殻ごと丸呑みする方もいるとか 」
「 へぇ…… 」
3つある意味は、其々に渡せ…と言うことだろうか。
けれど、この卵を渡したらつまり…交尾をして有精卵にして欲しい、という意思が込められてるのなら、渡す相手を選ばなきゃならないね。
彼女から渡された卵を手に持ち、ちょっと見た後に、ふっと気になることを問う。
「 あ、もう一ついいかな? 」
「 なんでしょうか? 」
「 有精卵と無精卵の見分け方ってわかる? 」
「 はい。交尾をした1週間から2週間後に生まれた卵を3日ほど温めれば、血管が出来始めます。それを暗い部屋で光に当てて見れば血管が見えるので、それで確認するんですよ 」
まるで、元の世界と同じ方法の検卵なんだと思えば苦笑いが浮かぶ。
今は軽く見上げてみてもそんは雰囲気はないためにじっと見ていれば、彼女は告げ足した。
「 それと、これは無精卵なので宜しいんですが…… 」
「 ん? 」
「 余り沢山動かすしますと中の細胞がバラバラになってしまうので……オスが4時間から12時間の間に、90度から180度ほど卵を回す、゙ 転卵 ゙以外は動かさない方が宜しいです 」
「 ふぁ!?そんなに、卵って…大変なんだ 」
細かな内容に驚けば、彼女は湿度の事も話してくれた。
オスの羽毛の中や温める場所にはそれが常に保たれるようになってるから必要ないけど、メスは次の卵を産む準備をする為に動き回る為に、抱卵には向かないそう。
だから、産んですぐにゲルトが回収したんだと思うと…
彼はもしかして、無精卵とか言ってたけど有精卵である場合のことも考えたのかな?
それとも単純に、葉の上から移動したかったのかは…彼自身に聞かないとわからないね。
「 個体差はありますが、卵は月に5、6個。年に60、70個程産むのが平均ですが。その中で孵るのは…僅か一羽も満たないのです 」
「 え…… 」
「 まぁ、その場合はオスの抱卵が下手だったか…中で殻を割る力がない雛は亡くなったり、途中段階での発達不足など…様々な理由があるので、跡取りを産むのも大変なんです 」
彼女は眉を下げて告げれば、私はその数を産むことにも驚きだけど、それがまた…雛が孵らないってことにも驚いた。
そして、確信した。
「( 有精卵の可能性はゲルトに任せよう。残り二人はきっと無理 )」
バルドは仕事で頻繁に離れるだろうし、ベイリーもまたこの大きさの卵を温めれるほどの体格がまずない。
小鳥だから、卵とのサイズが合わない為に抱卵は出来ないだろうから渡さないと思う。
それならやっぱり、私とベイリーを育て上げたゲルトが一番、安心感がある。
彼に他のオスとの卵かも知れないのを預けるのはちょっと申し訳ないけど、
それしか…生存確率は上がらないと思った。
「 抱卵の腕なら、ゲルト様が一番実績が御座いますよ。素敵な御方ですし、婚約破棄なさったのでしたらどうですか? 」
「 あー、うん、考えとく…… 」
やっぱり使用人も知ってるぐらいの腕なんだね。
それに、どうですかって……既に交尾してることを言ったら噂がすぐに広がりそうだから黙ってることにした。
とりあえず、この卵の行方は…心痛いけど誰かに食べてもらおう。
捨てたり、埋めるのは栄養があるなら勿体無い気もするからだ。
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