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゙ そういえば、媚薬は誰がやったの? ゙
゙ これがまだ特定できてません。ですが、毒ではなかったので、ちょっとした悪戯でしょゔ
゙ 悪戯なら、いいけど……゙
解決してない少し前の事がフラッシュバックのように過ぎった。
けれどすぐに現実へと引き戻された時には目の前には、お客として呼んだ金髪の髪をした人形のような女の子は、私を睨めば声を張る。
「 なぜ、貴女ばかり、幸せになるの!?許せないわ!! 」
「 エミ、リア…… 」
主人公であるエミリアの姿に驚く、腹に感じるじんわりとした熱い感覚と鋭い痛みに視線を下ろせば、腹に刺さった鋭利なナイフは、彼女によって乱暴に引き抜かれた。
「 っ! 」
「「 シェリー!!? 」」
左右で呼ぶ愛しい人は後ろへと倒れかけた私の身体を同時に支えれば、エミリアはナイフを手から落とし、その場を離れた。
「 シェリー、しっかりしろ!おい、騎馬隊!!あの女の子を殺せ!! 」
「「 は、はい!! 」」
立っていた騎馬隊の者達は直ぐにペガサスの姿へとなりエミリアを追いかけに行ったそう。
けれど彼女は捕まらないだろうと、ぼんやりとする思考の中で思った。
「 っ、バ、ルド…… 」
「 喋るな!ゲルト、早く血を止めろ!! 」
「 既にやっている!だが、何故か止まらないんだ!! 」
焦るバルドの方へとそっと顔を向ければ、彼は頭を抱きかかえては涙を流した。
彼が泣く事なんて無かった為に、ちょっと珍しいものでも見たのだと思い、こんな状況ですら嬉しく思ってしまう。
目線を動かせば手に血がついても回復魔法を使おうとするゲルトの手へとそっと触れる。
「 シェリー……? 」
「 もう、いいよ……。だから、お願い……スイレンの、はなが、みたいわ…… 」
「「 お母さま……… 」」
ゲルトはその言葉に酷く顔を歪めては僅かに首を振り奥歯を噛み締めては、ゆっくりと頷いた。
「 分かりました。バルド、連れていきましょう。私は回復魔法を続けるので…貴方が運んでください 」
「 っ……あぁ…… 」
バルドは前髪に口付けを落とせば、赤と黒ばかりのドレスを着ていた私には似合わない、真っ白で美しいウェディングドレスを軽く寄せて、膝裏へと腕を回せば持ち上げて歩き出した。
緩く揺れる感覚と血の気が引くのが分かり、何となくあの時を思い出す。
「 こんどは、私が…先ね…… 」
「 そんな事を言わないでくれ。やっと夫婦になれたのに……お前を、失うなんて…考えたくも、ねぇ…… 」
「 しって、たから…… 」
「 なにが? 」
「 わたし、バッド、エンド…しか…存在しないの……… 」
どんなに神様が許そうとも、プログラムされたゲームを書き換える事は出来ない。
その中に囚われてる私には、バッドエンドしかない為に、この状況にも納得は出来た。
幸せになり過ぎた事で、ゲームの世界だという事を忘れてしまっていたけれど、
私は、バッドエンドしかない悪役令嬢……
他の道はない為に、小さく笑えば、バルドは″ ふざけんな… ″と声を漏らしては睡蓮のある池の前へと立ち止まった。
「 着いたぞ……。ゲルト、出来ないならもう…いい 」
「 っ…… 」
冷めたような声で言えば、ゲルトは血で濡れた手を握り締め、私はちょっと動こうもすれば察したゲルトは足から地面へと立たせてくれて、支えながら池の方へと歩かせてくれた。
濡れたドレスを引き摺って歩き、淡い桃色の睡蓮の華に指先を滑らせればバルトそれを手に取り、私の手に持たせた。
「 昔は、お前の事が気になるだけだったが。高校の頃から御前をずっと好きだった…今も、これからも俺はお前だけを愛し続ける 」
「 ふ…貴方がもっと、はやく…素直なら…良かったのに…… 」
「 来世で巡り会うことが出来るなら、素直な男になるさ 」
睡蓮の華と共にバルトは背を曲げ、唇へと口付けを落とした。
涙で濡れた味に、笑み運ばれれば私は膝から崩れ落ちる。
咄嗟に腰を支えたバルトは、涙を流しては、不器用に笑った。
「 先に寝ろ、俺もすぐに向かってやる 」
来なくていいのに……。
そう、思ったときには深い眠りへと落ちていく___。
悪役令嬢にはバッドエンドしか存在しない
゙ 彼は変わっても、君が変わることはなかった。
その意味を…魂まで刻み…理解するといい…… ゙
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