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直美は連日の電話の所為で、最近良く眠れていない。
だが、家事はこなさねばならない。
同じ立場でも、健は今日も仕事に行ってる。
夕飯の買い出しをして帰る途中、頭がボーとしていた所為か、道に迷った。
10年以上この地で暮らしている。
最初の頃は、そんな事もあったが、今更迷うなんて——。
直美はため息を吐きながら、呆れたように思う。
ふと気づく、見た事の無い洋館。
こんなものあったんだ?
古い洋館だ。もう人が住んでいるようには見えない。
廃屋だろうか?
そんな事を思いながら、門に張られた格子から巨大な屋敷を見ていると、2階の窓に誰かが見えた。少女だった。中学生くらいに見える。
彼女はこちらに手を振った。
すると直ぐに、男が現れて彼女の腕を引いて部屋の奥に連れて行ってしまった。
思わず直美は格子を掴み、隙間から少女の消えた窓を見た。
一瞬だったが、あれは成長したえみでは無いか!? そう思った。
年齢的には、多分あの位になっているだろう。
えみに似ていたような気がする?
だが確かめるすべはない……。
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