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<6>
「殺すって、、、」
「お願いでございます! あの子の失態が許されないなら私が代わりに死にます。それをもってお許し頂くことはできないでしょうか?」
「待ってぇぇぇ! ください!!」
ーーー嫌な予感が、してきた。
「あの。……ニムノスのわたし殺害容疑って、何か証拠があったんですか?」
確かに出かけた覚えはある。だがわたしが覚えているのは、馬車に乗っていた時に何らかの衝撃を感じたところまでだった。
恐らく、それが件の事故とやらだろう。
その後は目が覚めないままーーーほぼ3日間に渡って自宅であるこの伯爵邸で寝込んでいたそうだ。
「そのまま死んでたならまだ分かりますけど。わたしはごく軽い怪我でちゃんと生きてますよ?」
たった3日の間に何があって、御者の死刑が決まってしまうのか。
「証拠など勿論ございません! 馬車の整備に問題がなかったことは複数の者に確認されておりますし、あの子自身にも断じてそんな意思はなかったと」
「じゃあ、ただの事故ですよね? 何でニムノスが死刑になんかされるんですか?」
「えっ……死刑にされないのですか? そんな……どうして……?」
「あっ、分かりました」
わたしは察した。察してしまった。
これは、アレだ。
ーーー「わたし」自身が原因だ。
現代からの転生は、いくつかのパターンで分けられる。
大まかだが性別で分けると男性は勇者、貴族、平民あたり。
どのパターンでも、何故かその世界でチートな活躍ができるスキルやバフを持っている場合が多い。
……代わって、女性の場合。
一番メジャーなのは聖女、巫女など。やたら周囲のイケメンにチヤホヤされるという、別の意味でチートなスキルを持つ場合が多い。
それ以外では近年になって、急速に増えてきたパターン……。
ーーーお分かりになるだろうか……。
心霊番組のナレーションみたいなおっちゃんの声が脳内で流れた。
目が覚めた自分に、初っ端から怯えまくるメイド。
不始末を起こした息子をわたしが死刑にすると、心底から信じている。
でなきゃ、自分が身代わりになるなんて言い出さないだろう。それだけの現実的な危機感が彼女にはあるのだ。
ーーーつまり。これがわたしのこの世界での立ち位置。
不慮の事故を起こした使用人を、何の躊躇いもなく死刑に処す。冷酷無比な極悪貴族。
その正体はーーーアイ・アム・ザ・悪役令嬢!!!
あまりにも有名なあのパターンであることを、わたしがばっちりと悟った瞬間だったーーー。
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