悲しい朝

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 朝目覚めると激しい二日酔いで体が重い。鈍重な頭のめぐりの割りに肌は妙に敏感で、起きなければならない使命感がわき上がりながらも一歩を踏み出すことができない。布団の中は気持ちよく、目を閉じて眠りたいと思っているはずなのに、不快感が同時に襲い、こうしてられなく熱いシャワーを浴びたいのはなぜなんだ。  まず考えたのは、こうなることがわかっていたのにどうして深酒をしてしまったのかである。  昨日の晩、職場の同僚と飲みに行ったことは覚えている。いつもはそうでもないのに、積極的に注文をしてどんどん飲んでいた気がする。つまり何かとてもいいことがあったか、とても嫌なことがあったかだ。 「おえ」  考えようとするとなおさら気分が悪くなった。考えたくないと体が拒絶しているかのようだ。連想的に思い出したのは、ここまで深酒をしたのは大学生の時に追っかけをしたアイドルができ婚をして引退した時だったなということだ。  こうしてられない。  このままだとおそらく布団の中に吐いてしまうだろうし、尿意にも襲われていたので風呂に行こう。瞼は糊で張り付けたように動かないが、熱いシャワーを浴びながら小便をして、冷えたポカリスエットを飲みさえすればすっきりするだろう。
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