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「お前みたいな女と付き合ってやってるんだ。有り難いと思え」
ミツルは事ある毎にこの言葉を私に投げつける。自己肯定感の低い私は悔しいがその通りだと納得してしまう。
取り柄なんて何も無い。顔も頭脳も十人並み、性格だって引っ込み思案の優柔不断。私に彼氏が出来た事は奇跡だと友人たちはみな驚いている。
ミツルは口は悪いが結構イケメン、成績も優秀。地味な高校生活に潤いを与えてくれる人。
「ミツルは絶対いい大学に行っていい会社に勤めるよ。しっかり捕まえておきなさいよ。ミツルを逃したらあんたに次は無い!」
友人はそう言う。本当にそうだと思う。この先私に彼氏が出来る可能性はゼロに近い。だからミツルには尽くさないと……。
しかしそれは自分の思い込み、周囲からの洗脳だったのでは、と思い始めるようになった。
「ルナちゃんが来てから店の雰囲気明るくなったよ、ありがとう」
最近私はコンビニでバイトを始めた。そこの店長が事ある毎にこの言葉を私に投げ掛けてくれる。
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