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「おい、降りろよ」
「もうちょっと」
「おい、お前の家族に見られたら困るだろ」
「何で? いいじゃん付き合ってるんだもん」
「おい……降りろよ。恥ずかしいよ……」
ミツルも恥ずかしがるんだ。ちょっとミツルを可愛いと思ってしまった。
「仕方ないなあ。降りてあげる」
「お前なぁ……。おい、こんな遅くまでのバイトなんか辞めろ」
「毎日迎えに来て」
「何甘えてるんだ!」
「だってミツルの背中あったかいから後ろに乗るの好き」
「別に……学校の帰りに毎日乗せてやるから、バイト辞めろ」
「うん」
「え? 辞めるの?」
「うん辞める。バイト辞めてミツルと毎日デートする」
「……」
ミツルの顔がみるみる赤くなって行く。ミツルって実は照れ屋だったんだ。威張っていたのはそれを隠すためだったんだ。言い返してもいいんだ。言い返しても怒らないんだ。
今日初めてミツルを知ったような気がした。
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