不器用な男たち

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「何処に行きたい?」 「え?」 「……デート」 「え、え、えっと」 「明日までに考えとけよ」 「うん! ミツルも考えてね」 「お、おう」 「それから、ミツル……」 「ん?」 「ありがとう。今日はありがとう」 「え? 何が? たまたま通りかかっただけだ!」  そう言うとミツルは慌てて自転車を漕ぎ走り去って行ってしまった。  嘘ばっかり。さっき「迎えに来た」って言ってたくせに。じゃあこの前もそうだったのだろうか。私を心配してバイトの日は様子を見に来てくれていたのだろうか。  面倒臭い男。素直じゃ無い男。不器用な男。でも今日は本当にありがとう。ミツルが来なかったらどうなっていたんだろう。 「ただいまー!」  家に入り私は洗面所に直行し顔を洗った。ちょっと舐められちゃったけどファーストキスは死守した。  いつか大好きな人にあげるんだ。それがミツルだったら、嬉しいな。 〈終〉
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