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あなたに会うこと
読み終わったあと、私はいてもたってもいられなくなった。
バタバタと足音を鳴らしながら廊下を走る。
お台所のお母さんから走らないの! とお叱りの声が聞こえるけど、無視して私は目的の部屋のフスマをスパーンッと開けて飛び込んだ!
「ねえねえねえ! これってお婆ちゃんの!?」
「あれまあ、懐かしいわね。入院していたときの日記だわ」
お婆ちゃんは私の手に持った日記帳を見て懐かしそうに、ニコッと笑う。
「これ本当のこと!?」
「さあてね……いや、もうあたしの夢は叶ったことだし、言ってもいいか。本当だよ」
「んー? 夢が叶う前は言っちゃだめだったの?」
「夢のことを話すと、正夢にならないって言うからねえ」
私にはよく分からないリクツだった。正夢ってなに?
それはそれとして、この日記を見つけて読んでからずっと聞きたかったことを聞くことにした。
「日記には書いてないけど、お婆ちゃんの『夢』って結局なんだったの? どうしてお婆ちゃんは泣いたの?」
「ああ、それはね……いや、大人になったとき、もう一度読んでみたら分かるかしら」
そう言ってお婆ちゃんは、ニコニコ笑いながら、でもちょっと泣きそうな顔で私をぎゅうっと抱きしめた。
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