ネット小説

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ネット小説

今回はお知らせから。現在公開中の「平和皇国」ですが、まあ思った通り、更新するのが面倒になり完全不定期となりました。ならシリーズものなんかやるなよということですがごもっともです。申し訳ありません。 さて、言いたいことは言ったので、今回はネット小説、ライトノベルについて書きたいと思う。 私はもともとそれなりに読書はしていて、気に入った本があれば少し時間があれば本を読んでいた。本の虫とか、読書家ですと言えるほどではないが、普通の人よりは読んでいるくらいのスタイルだ。 だから、それなりの小説の知識を持っている私にとってネット小説やライトノベルはとても衝撃だった。以下、私の初見時の正直な感想である。 会話文多すぎやろ!50:50くらいあるやんけ! 場所の描写大雑把すぎやん!てか書かれてないまであるやん! 記号多いな!「~」←使うの始めて見たわ なんで心情を()で表すんや!ちゃんと地の文で描写しようや その他様々ツッコミ所はあった。が、私の小説の好みも本屋大賞に選ばれるようなエンタメ重視の作品だったこと、もともとpixivで百合等のオタク文化に触れていたため、(それでも正直「うわあ……」と思いながら見ていたが)いくつかの作品を読んだ。 ちなみにネット小説との出会いは小説繋がりではなく、ニコニコに突然出てきた、ビートまりおさんの曲、ぼくらのおちん(以下自主規制)から東方沼へ、pixivのイラストや漫画にハマり、そこの小説機能を発見するという、恐らく当時はスタンダードなオタク道の入り方だった。転生前pixivで積極的に二時創作を投稿していたのはこの繋がりだ。 そうして、何日か読みふけった後に、私が読んできた小説とは「違う」が、「下手」ではないことが分かってきた。 無論、ネット小説はプロが書いているわけではないため、私のようなクソザコはいる。しかし、ネット小説の中にも上手い下手があることに気がついた。考えれば当たり前なのだが、どうにもネット小説やライトノベルを一括りで考えてしまっていた。そのような人は多いだろう。 私のような小説ライト勢でさえそれなりの拒絶反応を起こすというのに、小説ガチ勢がこれらを好んで読むことは少ないに違いない。 両方読んでいる私から言わせれば、ライトノベルと普通の小説では種類が全く違う。野球とクリケットぐらいの違いだ。点の取り方やバットの太さ、アウトになる判定など、ルールが全く違う。この状態で野球ファンがクリケットの選手のプレーにダメ出しをする。そのような状態が起きているのが今の小説とライトノベルだ。 そして小説とライトノベルの一番の違いは読者層だろう。 小説はゴリゴリの読書家に向けて書かれる事が多い。最近ではドラマ化や映画化などのため、エンタメ重視の作品は増えているが、それでもやはり一番の読者層は読書家だ。 対してライトノベルはそれだけではなく、アニメ、漫画、イラスト、その他諸々のコンテンツと一緒に見ている人が多い。 野球とクリケットでのルールが違えば、守備の仕方や走塁のセオリーが違う。同じように小説とライトノベルでは「上手さ」が違う。 この話をオタク友達に話したときは相当引かれたのだが、実は読書家は小説の表現自体を小説の展開と同じくらいに楽しんでいる。 村上春樹さんの卓越した隠喩、湊かなえさんの引き込まれるような心理描写、伊坂幸太郎さんの人体に関するリアルな描写など、描写のうまさを感じることも小説の楽しみなのだ。分かりやすいところでいうと、アニメ(というかこれももともと小説だが)「化物語」は、アニメだが実写が入ったり、独特な言い回しなどが面白い。これを楽しんでいるようなものだ。 対して、ライトノベルは展開一辺倒で、ただ純粋に作品を楽しむことが多い。特に小説の方が難しいことをしているわけではなく、読者にいかに物語に入り込ませ、面白いと感じさせるかという、それだけで勝負しなければならないため、相当な技量が必要だ。 この最適解の違いが最も表れるのは題名だろう。個人的な話になるが、私はラブコメが好きだ。その中でもヤンデレや先輩系、兄妹系よりも幼なじみ系、後輩系、ツンデレが好きだ。このような好みを満たすために、ライトノベルを読むとしたとき、題名に注目すれば読みたいものがすぐに見つかる。最近私が読んだものでいうと、「時々ボソッとロシア語でデレる隣のアーリャさん」なんかは、いかにもツンデレっぽい。「転校先の清楚可憐な美少女が、昔男子かと思って一緒に遊んだ幼馴染だった件」は、ドキマギする両片思いなんだろうと想像できる。このように、シチュエーションで探す読者が多いため、ライトノベルのタイトルはそのシチュエーションを的確に表した方が圧倒的に当たりやすい。 普通の小説にはそのような文化はなく、作者で好きな人がいるというものが大半だ。「君の膵臓を食べたい」やミステリー小説「告白」はまだかろうじて大まかな内容が分かるが、「1Q84」や「スティル・ライフ」などはさっぱりわからない。しかしこれらが有名なのは賞を受賞するような作者が書いているものだからだ。さらに、その作者のファンはどんな題名だろうと必ず読む。ならば題名を伏線に使った方が読者の満足感を得ることができる。他にも構成面でも様々な違いがあるが、長くなるため割愛する。 もちろん、ライトノベルは小説から派生したものであるから小説の方が歴史は長く、より技術が熟している。しかし、一概にライトノベルが「下手」という訳ではない。最適解が違うために起こる違いだ。ライトノベルの作者はとんでもない技術を持っている。それをもっと誇るべきだろう。 さて、なぜ私がこのように偉そうにライトノベルの話をしたのかとうと、今後、気が向けばライトノベル系の話を書こうと思っているからだ。ずっとシリアスを書いているとライトノベル系の話は書けなくなる。だから、いつも以上に拙いものになるだろう。是非温かい目で見守ってほしい。
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