うちには京介君がいます

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我が家には氷室がある。 冬に湧き水の天然氷を保存して、夏祭りに神社に奉納しているからだ。 その氷は、参拝者のお酒やお茶に入れて、お裾分けしたら終わり。 売って儲けてるわけじゃない。 一銭にもならないどころか、経費(手間賃と配送料などなど)は、こちら持ちだ。 まあ、地元が盛り上がるなら、私も文句はない。 それでも面倒なのが、お世話というもの。 神社の神様とは別に、氷室の神様というものが住み着いているらしくて、掃除とお供えが欠かせない。 夏に無駄に出入りするのはよくないから、氷がない時だけの限定つきだけど、それが中々大変だ。 特に、氷室を閉める直前の時期がつらすぎる。 雪国生まれ、雪国育ちだけど、寒いものは寒いわけで、氷室には庭を通らなきゃたどり着けない。 しかも、朝。 無理、無理、無理。 大事なことだから、三回言いました。 でも、こういう役割って、たいてい、若者に回ってくるんだよね。
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