うちには京介君がいます

2/7
前へ
/7ページ
次へ
「ないわぁ」 マフラーをぐるぐる巻きにしても寒い。 顔が痛い。 指が千切れる。 「お駄賃、奮発してもらわなきゃ、やってらんないっつーの」 寒さに負けないよう、今日もぷりぷりしながら氷室に向かう。 一応、祭壇にハタキをかけるけど、毎日やってるから埃はない。 後は、いつも通り、お水を取り替えて、パンパン手を叩いたらおしまい――のはずだったのに。 急に寒気と目眩がした。 朝ごはん前だからって、なんかヤバくない? てか、こんなところで倒れたら、凍死まっしぐらじゃないの?? 今、死んだら、絶対化けて出る自信があるくらい後悔しか残らない。 イケメン彼氏にあんなことやこんなことをされてみたい、夢見る青春真っ盛りの私なのに……みたいなことを、一瞬の内に考えた。 煩悩ばっかりで、走馬灯でないのは言うまでもないけど。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加