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「ないわぁ」
マフラーをぐるぐる巻きにしても寒い。
顔が痛い。
指が千切れる。
「お駄賃、奮発してもらわなきゃ、やってらんないっつーの」
寒さに負けないよう、今日もぷりぷりしながら氷室に向かう。
一応、祭壇にハタキをかけるけど、毎日やってるから埃はない。
後は、いつも通り、お水を取り替えて、パンパン手を叩いたらおしまい――のはずだったのに。
急に寒気と目眩がした。
朝ごはん前だからって、なんかヤバくない?
てか、こんなところで倒れたら、凍死まっしぐらじゃないの??
今、死んだら、絶対化けて出る自信があるくらい後悔しか残らない。
イケメン彼氏にあんなことやこんなことをされてみたい、夢見る青春真っ盛りの私なのに……みたいなことを、一瞬の内に考えた。
煩悩ばっかりで、走馬灯でないのは言うまでもないけど。
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