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「むふ?」
地面に倒れたから、もう駄目かと思ったんだけど、顔面に妙な圧力を感じる。
仰向けなのに、なぜ?
てか、苦しいし!
もがいて何かを押しのけて、目を開けたら、超目の前に人がいた。
てか、今、押し倒されてた?
もしかして、もしかしてだけど、ちゅーされてたとか言う??
「のあぁ!?」
一気に顔が熱くなる。
初めてだったのにぃって、そんな場合じゃない。
不審者だ!
「おじいちゃーん! へるぷみー!!」
とにかく叫んで、氷室を脱出した。
玄関を開けて、靴を脱ぐのも待てないから、はいはいしながら茶の間に向かう。
「なんじゃい、呉。お行儀が悪い」
「へ、変質者が、氷室に出たぁ」
「何ぃっ!」
腕まくりしたおじいちゃんは、玄関のほうきを掴んで出ていった。
「おじいちゃん、格好いい……って、のんきに見学してる場合じゃない」
よく見てないけど、変質者は健康そうで背の高い男だった。
もし、万が一、おじいちゃんが寝たきりになったりしたら、誰が下の世話をしなきゃいけないと思ってるんだ。
寿命でコロリと逝くまでは、元気でいてもらわないと困るじゃないか。
慌てて追いかけると、おじいちゃんは玄関先で、ほうきを振り上げた格好で固まっていた。
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