❶妖女な幼女💖短編作品

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アクシデント&ハプニング S氏はユキコが戻ってくる間、一服しながらコンビニの外で待っていると、下校時だけに小学生から中高生まで、若年層の出入りは引っ切り無しだった。 ”さすがにこの時間帯は、子供たちが店内に吸いこまれるようだわ(苦笑)。ウチもこうありたいが、商売の形態が違うからなあ…。しょせんは無理だよな、ハハハ…” そんなたわいもない風情にもたれかかっている間、約2分弱して…。 気が付くと、S氏のすぐ脇でも、先ほどのユキコとほぼ同年代の少女3人がアイスクリームを食べてながら、スマホ片手にはしゃいでいた…。 そうこうしていると、ユキコが小走りして、店の外に出てきたのだが…。 「ああ、おじさん…、お待た…、ワー、ギャー!!」 「ユキコちゃん!」 何と、ユキコは店の扉を開けて出てきた途端、絶叫とともに、その場に倒れ込んでしまったのだ…。 *** 「キミ…、どうしたんだ!大丈夫か…⁉」 S氏は咄嗟に煙草を消して、ユキコの元に駆け付けると、そのまましゃがみこみ、両手でユキコの体を抱え込んだ。 「ううっ…、ううっ…」 ユキコは両目をぱちくりさせ、体を小刻みに痙攣させていた。 「あー?あれ、ユキコだ!」 「ユキコー、どうしたの⁉」 アイスを食べていた3人組はどうやら、ユキコの同級生のようだった。 3人はすぐにユキコとS氏に寄っていった。 *** 「ちょっと…、おじさん‼ユキコに何したんですか⁉」 「は…⁇」 「ユイ、アキホ…、店の人呼んできなよ!」 「わかった…」 「ちょ、ちょっと待ってくれって‼オレは何も…」 「でも今、ユキコは大声で叫んで、それで倒れこんじゃったじゃないですか!」 ”勘弁してくれって!…いや、ここであまり言い訳がましいことを捲し立てたら、かえって不審人物物扱いされちまうか…。よし、ここはあまりムキならないほうがいいな。…それにしてもどうっしたっていうんだ、急に、このユキコって子‥。まあ、意識はあるようだし、落ち着けばちゃんと話しを聞けるだろうが…” S氏はある意味、沈着冷静だった。 そう…、こういった場で、あせって”無実”をムキになって主張をしても、逆効果になる、と即座に頭は整理できたのだ。 *** 「どうされました、お客さま…?」 「いや…、この女の子が店のトイレから出てきたら、急に声を上げて倒れ込んでしまったね」 「失礼ですが、この店にはご一緒にでしたよね?」 「ええ‥。一緒でしたよ。細かいことは、この子が落ち着いたら直接聞いてみて下さい」 「…店長さん、警察に知らせた方がいいんじゃないんですか?」 ここで3人の少女と店長らしき男性のほか、店内の客や通りがかりの人達も足を止め、何事かと、地面にへたり込んでいる女の子と中年男性に視線を留めていた‥。 「呼ぶんならどうぞ。要は、この子の話で全部わかるんだし」 「…」 S氏はここでも動じず、開き直ってはいなかったが、毅然と言い放った。 もっとも、内心は正直、冷や冷やものではあったが…。 すると、S氏に抱えられたユキコが口を開いた…。 「あのう、すいません。店の外に出たら、大きな蛾が飛んできて…。私、蛾とか大っ嫌いで急に血の気が引いちゃって…」 「そう…。で、もう大丈夫かい?倒れた時、ケガしなかったかな?」 「はい…、もう大丈夫です。おじさんが抱えてくれたんで…。ごめんなさい」 「いや、びっくりしたけど…。とにかくよかった」 S氏はそう言って、店長とユキコの同級生の顔に目線を当てた。 それは、”これで納得したよな!”と言わんばかりに…。 無論、4人には”納得”以外の選択肢は持ち得なかったが。
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