高級シャンパン

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高級シャンパン

蘭は何組かお客さんを呼んでいた。 何組かのお客さんをぐるぐると回る 蘭を見ながらVIPの様子を伺っていた。 すると、蘭に耳打ちをしながら 楽しそうにしている被りがいた。 私は今まで被りに何か思ったことは無い。 むしろ同じ担当を応援している仲間だと 蘭に言われてきていた。 私もそう思っていた。 が、その日だけは違っていた。 私は初めて被りを敵対視し あの被りに勝ちたいと思ってしまった。 颯はそれを瞬時に察知してくれて クリスマスの私の愚痴や不満 今日の愚痴や不満を 延々と聞いてくれていた。 蘭はその日も 私の機嫌が悪い事に気づき あまり私の卓へは近づかなかった。 ラストオーダーの少し前 蘭は私の卓へきた。 「蘭ちゃん。今日ラスト何入れるの?」 「本当に誰が何をするか読めないから任せる!!笑笑笑」 と言い残しまたVIPへ戻って行った。 私はとてつもなくイライラしていたが 颯が居てくれたおかげで 何とか落ち着いて座っていられた。 颯にお店のメニューを頼み 二人でメニューと睨めっこした。 オープン初月とあって まだシャンパンも揃ってはおらず 高級な飾りなども そんなに在庫がなかった。 今までのラストオーダーは いつも蘭が隣にいてくれ 最後は蘭の言う通りにしてきた。 VIPを見ると 楽しそうに話す二人が見えた。 私は… ラストオーダー前に お店で一番高いシャンパンを 注文する事にした。 しかもシャンパンコール無しで。 シャンパンコールなしで シャンパンを注文すると 「○テーブルのお客様より高級シャンパン○○をいただきました!!」 マイクでアナウンスしながら シャンパンを持ってくる。 そのマイクも無しにしてくれと頼んだ。 黙って持ってきてもらったシャンパンを 蘭に気づかれないように足元へ置いた。
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