No.発表とラストソング

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No.発表とラストソング

私は蘭の隣でNo.発表を聞いた事が無い。 蘭は締め日にいつも被りがいた。 ラスソンは その日一番使ったお客さんの隣で 歌うのが決まりだ。 蘭は二番目に使ってくれたお客さんにも 感謝の気持ちを込めて 二番目に使ってくれたお客さんの隣で No.発表を聞く。 そして一番使ってくれたお客さんの隣で ラスソンを歌う。 だから私は蘭のNo.発表を 隣で聞いた事が無い。 その際はきちんと私に許可を得てから 被りの所へ行く。 その日も 「No.発表は向こうで聞くね。」 と許可を得てからVIPへ戻って行った。 VIPのお客さんは満足そうな顔をして No.発表を待っていた。 そしてNo.1の発表では 蘭の名前が読み上げられた。 蘭はマイクでお客様への感謝の気持ち そして勝った喜びを話していた。 ラスソンの時間になると 蘭は私の隣へと戻ってきた。 そして二人の大好きな曲を選んだ。 浜崎あゆみの【MY ALL】 一体もうどれくらいの時間を ともに過ごしてきたんだろう 一体もうどれくらいの距離を ともに進んだだろう 僕たちがこれまでに残してきた 完璧じゃなくともキラキラした 結晶が今ここに誇らしげに輝き放っている 楽しい事嬉しい事 ばかりだったとは正直 言えないけどいつでも 1人じゃなかったから 歌詞が私達にリンクしてしまって 蘭と私は大号泣した。 従業員もみんな私の卓にきて なぜかみんな泣いていた。 ふとVIPに目をやると 被りは席にうなだれていた。。。 少し意地悪しすぎたかなと反省した。 後にも先にも こんな戦い方は初めての経験だった。
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