締め日の裏側(番外編)

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締め日の裏側(番外編)

VIPには二つの卓があった。 一つは通路側の狭い卓。 もう一つは奥側の広い卓。 私はいつも奥側の卓に座っていた。 締め日は被りが奥側の卓。 通路側は店長が座っていた。 店長はホスト歴が長く 地元でも結構有名なホストだった。 蘭が一番恐れていたのは店長だった。 ホスト歴が長く売れているという事は それだけ長いお客様がいるという事。 長いという事は信頼関係も深く 締め日に呼べるお客様は 他のお客様以上に信頼関係が強いのを 蘭も私も知っている。 12月の締め日。 最初はおとなしかった店長が 途中でシャンパンをポンポンと入れ始めた。 それを見て蘭は私を召喚したようだ。 そしてラストオーダー。 私はVIPの様子はあまり見えないので 颯と騒ぎながら楽しんでいたが 蘭から見えた景色は… ラストオーダーの紙に それはそれはずらずらと 注文を記入している店長だったらしい。 【どんだけ注文すんの。負けたな。】 と蘭は思ったらしい。 だが蓋を開けてみると 店長は一本もオーダーしていなかった。 店長が途中で シャンパンを何本も入れた理由。 【蘭はさつきさんを呼ぶつもりがない事を知って本気出してないなと思った。蘭の本気を見てみたい。】 ラストオーダーで 注文を書いたふりをした理由。 【最後まで本気で戦って欲しい。】 蘭と私はしっかり 店長の手のひらで転がされていた(笑) 店長に遊ばれた12月の締め日だった。 No.1 蘭 No.2 店長 No.3 颯 私はこのTOP3が大好きになった。
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