守るべきもの

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守るべきもの

蘭は毎月本数売上共にNo.1 そしてバースデーの売上等により 【主任】に昇格した。 お店がオープンして 3ヶ月が経ったある日。 お店では何か問題が起きたようだった。 私は部外者なので 詳しく聞く事はなかったが どうやら颯と他の従業員が揉めていた。 颯はパワー系で力が強い。 後輩や仲間の面倒を見ると言っても 体育会系の為周りから見ると 親分と子分にしか 見えないような感じでもあった。 度が過ぎたと言ったところだろうか。 颯は常々 「俺はらんらんとしか馬が合わん。他のやつの言う事は聞きたくない。ホストとして認めてるのはらんらんだけや!」 と、話していた。 何度も役員会議が行われ 颯には辞めてもらおうという話に 進んでしまっていた。 颯もまた蘭以外には不信感しかなく クビと言うよりは こっちから辞めてやるくらいの勢いだった。 蘭だけは最後まで反対した。 どちらかを切るといった選択肢に 何もプラスは生まれない 嫌なものに蓋をするようなやり方は 好きではなかったからだ。 そしてどうしても残すとするならば 数字をあげている颯だろうと何度も言ったが 蘭の意見は聞き入れてはもらえなかった。 蘭は颯を守ってあげれなかったと 悔しそうな顔をして私に話した。 前のお店では末っ子扱いのため どれだけ売り上げても 蘭の意見は聞いてもらえず それでも努力して努力して 新しいお店で ようやっと主任という役職を貰えて またこれかと… 颯は蘭と私の前から姿を消した。
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